2017年10月刊行、
豊田有恒 - 「宇宙戦艦ヤマト」の真実【祥伝社文庫】
ーいかに誕生し、進化したか
は、「宇宙戦艦ヤマト」の舞台設定を担当した豊田有恒さんの視点で、かの大ヒットアニメの舞台裏が語られる1冊です。
豊田さんは物語の骨格を『西遊記』にもとめ、三蔵法師一行が苦難を乗り越え、天竺にありがたいお経を受け取る旅に出る話を、かの有名なアニメの設定に反映したんだとか。
文中にはもちろん、他紙で「愛すべき悪党」とまで評される西崎義展プロデューサーも登場します。
西崎義展Pの知られざる悪党っぷりに興味を持った私は、思わず、「宇宙戦艦ヤマトをつくった男 西崎義展の狂気【講談社α文庫】」も購入してしまいました。
「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気 (講談社+α文庫)
- 作者: 牧村康正,山田哲久
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/12/21
- メディア: 文庫
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なお、圧倒的な舞台裏と、「愛とロマン(皮肉込め)」に生涯を捧げた男の物語の感想については別途、書き記したいと思ってます。
ただ本書「宇宙戦艦ヤマト」の真実」でも、被害者の一人として、西崎Pのクリエイティブな才能への羨望と嫉妬のなす行為だったのか、有能な人材を「篭絡」しては、徹底的な「搾取」を繰り返す、西崎Pの天下無双ぶりを、豊田さんが綴る文章の端々から垣間見ることは出来ます。
帯イラストを提供している漫画家・松本零士さんと西崎Pとの著作者を巡る裁判で、西崎Pが2002年3月に勝訴し、2003年7月に控訴審で裁判外の和解が成立した話の次第なども載ってます。
本書の最後の項目には、「知的所有権を守り切れれてないクリエーター」に関する注意喚起が記されております。
また、どんなに傍若無人な漢であったとしても、西崎義展プロデューサーが「宇宙戦艦ヤマト」を大ヒットにまで導いた功績は、認めざるを得ないであろうという記述もあるのは、複雑なる豊田さんの心境であろうと。
西崎P自身が著作権者であると法的に認めさせた「宇宙戦艦ヤマト」ですが、彼が本当に一人であの作品を創造する事が出来たかを確認出来るのが2009年12月公開、西崎P自ら監督をつとめた「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」です。
正直ビデオで「復活編」見たときに、「なんで無駄に長くてつまらない話なんだ」という感想だったのですが、本書でその理由が分かり、とってもすっきりしました(苦笑)。
最も楽しみにしてた「BGM」も、旧作の流用はともかく、新規録音に関しても、良い出来とはお世辞にも言えないものであると思ったので、この作品で西崎Pの「神通力」が、完全に切れたんだろうと・・・。
古参ファンから酷評されているらしい、山崎貴監督の実写による、「キムタク版宇宙戦艦ヤマト」こと、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の方が、よっぽど鑑賞に耐える作品でああったという事実が、西崎Pのクリエーターとしての才能の無さを際立たせる皮肉な結果になってるのが、トホホという感じで・・・。
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しかし、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」でせしめた原作料(5千万円の話を2億円に吊り上げたとのこと)で、購入した「YAMATO(水産学校の練習船の払い下げ)」で、小笠原海域航海中に転落、西崎Pはあっけなく死亡してしまいます。
まあ、「YAMATO」から転落して死亡というのは、あまりにも出来すぎた死に様であったというか、因果応報というべきか・・・。
なおも存命であった場合、この船(YAMATO)から予定していた続編を制作指揮するつもりだったようです。
最後に、西崎Pが組織していた「宇宙戦艦ヤマト・ファンクラブ」に入会していた私としては、そのお金が西崎Pの豪遊(愛人、船、銀座遊び)に充当されていた事を今更ながら知り、呆れるほか無いというのが、正直な感想です。
ただ、そんな内情はともかく、故・宮川泰さんが作り出す音楽(BGM)に関しては、死んだはずの沖田艦長が甦る(完結編)とか、本編がどんなにご都合主義満載であっても、未だ素晴らしいものであることは事実、です。
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そして、西崎義展プロデューサーが亡くなった事により、西崎Pが「ヤマトを制作するため」というだけの理由で、養子となった西崎彰司氏の手による「宇宙戦艦ヤマト2199」、「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」が制作され、ヒットを記録したのも、皮肉というべきなんですかねえ・・・。
現在進行中の「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」は古参ファンの私が見ても、面白いです。
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西崎Pの無双っぷりを探求する続きは、こちらの記事でどうぞ。