いつも気になる場所ではありましたが道の駅に寄る位で、じっくり周辺を散策した事のなかった土地。
今回、ネットでぼんやり調べてたら南陽市から近い、この高畑町に「犬の宮」と「猫の宮」という、犬猫を祀る社があるのを発見・・・。
「熊野大社」に疫病除けの願いを込め参拝した帰り道、寄ってきました。
さて、高畠町は、出羽(現在の山形・秋田両県)と、陸奥(現在の福島・宮城・岩手・青森の4県)をつなぐ、要衝(交通の上の重要地点)だったようです。そういえば、私も仙台に行く時は、こちらの町を通過してました。
という事で「熊野大社」参拝後、カーナビに場所を入力。音声ナビに従い「犬の宮」前の駐車場まで、さらっと移動出来ました。
【犬の宮】
「安産」と「無病息災」の神としても知られる。
犬をまつっている社は全国でも珍しい事から、愛犬の健康と供養に訪れる人も多い。
「案内看板」等には、ちょっと他の文献漁る必要ある記載があるので、ここでは写真だけ掲載しときます。
高畑町高安に伝わる、「犬の宮」に関する奈良時代初期の伝承は、次の通り。
国際日本文化研究センター【怪異・妖怪伝承データベース】に載っている、1934年に発刊された三元社「旅と伝説(7巻6号通巻78号)」に掲載された、山形県高安「犬の宮」の伝説(執筆者:大浦豊)
盲人が野宿していると、大勢の者が集まり、「甲斐の国の三毛犬、四毛犬には知らせるな」と踊り歌った。次の日盲人は、人身御供を出さねばならないと悲しむ村人達に会った。
盲人は昨夜の話しをして、甲斐に使いを出した。
やってきた犬達は役人に化けた劫を経た毛の生えた怪獣達を殺し、自分達もまた深手を負って死んだ。
その犬を祀ったのが犬の宮である。
番号1232639【怪異・妖怪伝承データベース】
「甲斐の国」は、今の山梨県の事ですね。
参考文献にある「劫を経た毛の生えた怪獣達」とは、妖怪変化となった「古狸」の事のようです・・・。
「犬の宮」は駐車場の目の前に参道が見えるのですぐわかったのですが、「猫の宮」は何処だ(笑)?
しばらく視線を泳がせておりましたが、近くの畑の脇に、うっそうとした森らしき場所が・・・・。
多分、そこが「猫の宮」だろうと近くまで徒歩移動したら、森の中から、先ほど駐車場で会った、家族連れの声がしたので、ここに間違いないな、と(笑)。
【猫の宮】
かつては「養蚕の神」として信仰が厚かった。
猫などの「ペットの神」としても知られ、ペットの健康祈願や供養に訪れる人も多い。
「猫の宮」の伝承は平安時代初期、「犬の宮」に関する伝承の「続き話」だそうです。
「犬の宮」の話から何十年か経過した後の山形県高安が舞台です。
庄屋で信心深い夫婦が、観音菩薩から授けられた「猫」を誤解から切り殺してしまった際、切り落とされた首が、屋根裏に潜んでいた大蛇にかみついたそうで。
実は、犬たちに退治された「古狸」の怨念にとりつかれた大蛇が、庄屋夫婦に復讐すべく機会を伺っていたのを、これまで「猫」が鉄壁のボディガードぶりで邪魔していたそうで・・・。
という事は、古狸の怨念にとりつかれた大蛇、おおよそ100年位生きてた事になりますな・・・「観音菩薩 VS 古狸の怨念」という構図、とても興味深いですね。
さて、誤解とはいえ、可愛がってた「猫」を切り殺してしまった夫婦。
大いに悔やんだ後、「猫」の亡骸を手厚く葬り、堂を建て、春秋2回の供養を行ったそうです。
薄暗い境内に立つお堂に貼られた猫の写真が、ちょっと、この境内に長居しずらい雰囲気を醸し出していたので、早々に撤退しました・・・。
神社参拝のつもりで訪問した手前、アレの対策とか頭に入れてなかったので、次回行く機会があれば、それなりの「装備」した上での訪問になろうかと思います・・・。
なお、毎年7月第4土曜日には、犬の宮前で「全国ペット供養祭」が執り行われるそうです。
ネットに掲載させた写真を拝見するに、神仏習合の時代の名残か、別当寺院住職により、社の前で供養が執り行われている模様。
また、山形県東置賜郡高畠町高安(こうやす)は、1954年発表の戸川幸夫による短編小説「高安犬物語」の舞台だそうです。
「高安犬物語」は、第32回(1954年下半期)直木賞受賞作とのことで、「犬の宮」参道には、戸川幸夫「高安犬物語」の文学碑もあるそうです(見逃しました)。
なお「高安犬(こうやすいぬ)」は、この地にかつて繁殖していた中型の日本犬種だそうで。
「高安犬」は、強い耐久力と激しい闘魂をもつ優秀な熊猟犬として有名で、地元では熊猟犬、番犬やとしても飼われていたそうです。
全国的にも珍しい、「犬」と「猫」を祀った社がある高畑町。
毎年7月第4土曜日に執り行われる「全国ペット供養祭」、2021年の開催には間に合いそうなので、興味のある方は高畑町観光協会にお問合せ下さいませ。
犬の宮・猫の宮(高畑町観光協会)